小説「自転車旅行のつもりが・続編」 その3
朝になった。

どうも、夕べは飲みすぎたようで、完全に二日酔いです。
よその家とは言え、起こされなければ、いつまでも寝てしまってたかもしれない。
どうも、昨日の記憶が断片的だ。
なんか、妙な夢までみたようだ。

しかし、夕べはかなり酔ってたのだろう。
頭がガンガンする。

もしや、何か変なことしてないか、それだけが気がかりだった。

特に娘さんに・・・・

恐る恐る、皆の居る部屋へ挨拶へ行きました。
もう、朝食の準備は出来てるようで、私を待っていてくれたようだ。

私「あ、おはようございます。夕べはいろいろとありがとうございました。」

男「ああ、構いませんよ。 早く朝食でも食べませんか。 どうぞここに座って」

今のところ、特に変わった様子もない。
遠慮してるのか?

部屋を見渡したが、何か壊したような様子もないようだ(笑)

でも、娘さんには顔をあわせ辛かった。
もし、変なことでもしてたらと思うと・・・

朝食を済ませ、早速帰路に着こうと、自転車の準備を始めた。

すると、娘さんが、私のところに来た。

娘「昨日はとても楽しかったですね!」

私「え・・あ・・いえ、こちらこそ楽しかったです・・・ハハハ」

どうも、何事もなかったような感じだ。
それとも・・・・

娘「昨日はかなり酔ってましたけど、大丈夫でしたか?」

私「あ、はい、ありがとうございます。ところで、昨日、私変なこと言ってません?してません? 神社の裏とか、月のこととか・・・」

娘「え?月・・・神社?」

私「いえ、何でもないです。気のせいです・・・ハハハ」

やっぱり、夢だったんだろうな。

私「本当にいろいろとありがとうございました。 では、また落ち着きましたら、お礼に伺いますので・・」

そう言って、帰路へと向かおうとしたところだった。

その時、背後から娘さんが一言・・・


娘「あ、忘れてました。 昨日はあの後、青い月が見れなくて、残念でしたね!」


私「・・・」

その言葉で、昨日の記憶が全てよみがえってきた。
真実だったんだと確信した。

しかし、振り向くことは出来なかった。
ただ、まっすぐ走ることしか出来なかった。
全速力で、その場を立ち去りたかった。

ここは・・・
この星は・・・

これが真実としたら
この地球は・・・
私の住んでいた地球じゃないのか?

つまり、この星に連れて来られたことが本当で、今まであった意味不明な出来事も本当なのだろう。

1000年後の地球・・・ここは、1000年前の地球とウリふたつの星。
いや、別次元なのかもしれない。

私の居た地球と、この星は別次元で同時に時間が進んでいて、あるきっかけで、別次元へと移動したが、それが1000年前に・・・

パラレルワールドか・・・

しかし、ここまでそっくりってことは、もしかして妻も子供も同じなのでは?
周りの人間もまったく同じってことか?

もし、それが本当だとしたら、もう元の地球に戻れる望みがない以上は、このままこの星の人間として・・・

どうせ、月が3つぐらい、どうってことないさ!
しかし、他に何か違うものがあるのかもしれない!それが怖い!


ああ、良くわからねぇ・・・

もう、今となっては、何が起きても動じない。
あまりにも現実離れした経験を積んでるだけに、これから起こることも、まったく苦にならない。

考えて走ってるうちに、次第と見慣れた景色へと戻ってきた。
そう、我が家の近くまでたどり着いたのだ。

この景色を見ただけでも、もしかして何かに騙されているのでは?思える。
もしかして、あの家族に・・・

そういえば、山を降りるときに会ったおばあさんの言葉・・・
しかし、そんなのありえないよな~

そして、我が家の前にたどり着いてた。
思い起こせば、初めにここに戻ってきたときには、妻と子供が他人になってたよなぁ!
あれが本当のことだとしても、もうごめんだな・・・冗談でも!!

玄関前まで来て、一呼吸した。
部屋には電気が付いている。


そして、私は玄関の鍵をそっと開け、扉を開いた。

~続く~
小説「自転車旅行のつもりが・続編」 その4