小説「自転車旅行のつもりが」その1 :プロローグ
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「自転車で旅に出た彼の身に起こったこと、それは単なる出来事ではなかった!」

これは、あくまでもフィクションであり、登場する人物・場所は全て架空のものです。
本当に、架空のドラマですから、本気に取らないで下さい・・・!

■1「プロローグ」

社会人になって初めて取れた長期休暇。
休暇と言ってもほんの1週間である。
しかし、今までにまともな休みを取ってなかった私には、最高の休暇だ。

早速、何をしようかと、計画を立てたのはいいが、折角の連休である。
1週間、まるまる、どこかに旅に出るってのもいいだろう。

しかし、家族の支えがあってこそ、ここまで辛い仕事も何とか我慢してやれたのだ。
やっぱり、家族のために休暇を使うのが、最優先だろう。

しかし、突然の休暇宣言に家族の対応は、予想に反して冷たかった。

なぜ、もっと早く言ってくれないの?とか、夏休みや冬休みなんかに取らなかったの?と言われる始末だ。
確かにそうだが、まずこれだけの休暇を取るのは、普段じゃ不可能に近い状況だけに、贅沢など言っておられないし、選択肢はないのだ。
まず、希望の日を言っても通るはずもなく、逆に休暇そのものも取り消される可能性があるからだ。

しかし、売り言葉に買い言葉とでも言うように、どちらも引かない性格であり、会話は決裂。
挙句の果てには、喧嘩別れみたいな状況にまでなった。

子供は、仕方なく妻方に付いてしまっている。
普段、仕事であまり子供と接していなかった報いがここにきた。

こうして、家族からの非難によって、私の中の家族との楽しい計画は薄れていった。
もう、こうなったら、休暇は自分のためだけに過ごそうと、そう思い始めた。

数日後、私はある計画を進めるため、家族に内緒で準備を始めた。
それは、学生時代からやりたかった、「自転車旅行」だ。

どれほどの準備が必要なのかは、判らない。
とりあえず、ザックに詰めるだけの物と小型のテントを用意した。
いざ、という時のため、お金も少々持っていくことにした。

この時点でも、妻とはほとんど口を聞いていない。
そこまで無視し続けるのなら、こっちも何も言わずに自分の好きなことをやるぞ、と言った状況だ。

そして、決戦の時!

朝5時起床。
この日、妻や子供はまったく起きてこない。
やっぱり!
まあ、かえって何か言われて出て行くより、行動を起こしやすい。
しかし、捜索願いでも出されるとまずいので、一応、行動予定を紙に書いておいた。

玄関に鍵をかけ、さあ出発だ。
まだ、外は薄暗い。
途中、新聞配達のバイクとすれ違っただけだった。

ここから、1週間、念願の自転車ひとり旅の出発となった。
久しぶりに独身になった気分だ。

<~続く~>
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